しばらく空を見上げていると何かが飛んでいるのが見えた。


鳥？いや、違う。


「あれは…龍？」


白く輝くその姿は美しいの言葉では足りない程、綺麗なものだった。


試しに手を振ってみると、龍は雄叫びを上げて神々しい光を放った。その光は眩しいものではなく、暖かく包み込んでくれるような優しい光。


私は何故か知っている気がした。この優しさを。どこかで会ったことがあるような…。


あなたは誰なの？もし叶うなら、話をしたい。知りたいの、あなたの事を。


再び龍は雄叫びをあげる。次の瞬間、私は強い眠気に襲われた。倒れそうになると、誰かが私を受け止めた。


優しく包み込むこの腕を私は知っている。とても心地よい悲しみも不安も、全てが吹っ飛ぶような優しい光。


『橙花』


私の名前…？どうして知っているの？



もしかして貴方は、龍神様ですか………？