「なに…これ?」
辺り一帯には歴史の教科書で見たことがあるような木造の建造物が建ち並んでいた。
それらを照らすオレンジ色の灯りが怪しげな雰囲気を漂わせる。
幻?いや、地面の感触を感じるからこれは間違いなく、現実…?!
立ち上がる瞬間にジャリっとスニーカーと砂の擦れる音がする。さっきまでいた場所にはコンクリートでできた道沿いしかない。
「さっきまで水龍神社にいたはずなのに。そうだスマホ!……圏外?」
これではGPSを使って場所を調べられない。家族に連絡することさえ不可能である。
とにかく誰かに道を聞かなければと辺りを探る。しかし様子がおかしい。建物は沢山あるのに、人っ子一人いない。
とても静かだ。気配を感じられない。
それに冬みたいに寒い。制服の上から学校指定のニットカーディガンを着ているが、それでも凌ぐには厳しいほどの冷えがある。
寒さに耐えながら歩みを進めいくと、周りと比べて古びた建物が見えてきた。その近くに影らしきものが見えて、小走りで近づくとようやく人を見つけた。
その人は痩せ細っていて、今にも餓死してしまいそうな身体をしているおじいさんだった。古びた着物の上から骨の形がハッキリと分かるくらいだ。
「すいません。あの、水龍神社へ戻るにはどうしたらいいですか?」
(…ひっ!!)
その人の肩は氷のように冷たかった。まさかと思い、顔を覗き込む。しかし影になっていてよく見えなかった。
「あ、あの……」
「お前、美味そうだな…!」
(え、今、“美味そう”って…)
振り向いたその人は牙のようなものと鋭い爪があった。それらを私に向け、襲いかかってきた。
「きゃーー!」
悲鳴をあげた橙花の声に気づいて、ひとりふたりと次から次へと出てくる。
しかしそれは全て同じように鋭い爪、頭にはツノがある。まるで化け物だ。
辺り一帯には歴史の教科書で見たことがあるような木造の建造物が建ち並んでいた。
それらを照らすオレンジ色の灯りが怪しげな雰囲気を漂わせる。
幻?いや、地面の感触を感じるからこれは間違いなく、現実…?!
立ち上がる瞬間にジャリっとスニーカーと砂の擦れる音がする。さっきまでいた場所にはコンクリートでできた道沿いしかない。
「さっきまで水龍神社にいたはずなのに。そうだスマホ!……圏外?」
これではGPSを使って場所を調べられない。家族に連絡することさえ不可能である。
とにかく誰かに道を聞かなければと辺りを探る。しかし様子がおかしい。建物は沢山あるのに、人っ子一人いない。
とても静かだ。気配を感じられない。
それに冬みたいに寒い。制服の上から学校指定のニットカーディガンを着ているが、それでも凌ぐには厳しいほどの冷えがある。
寒さに耐えながら歩みを進めいくと、周りと比べて古びた建物が見えてきた。その近くに影らしきものが見えて、小走りで近づくとようやく人を見つけた。
その人は痩せ細っていて、今にも餓死してしまいそうな身体をしているおじいさんだった。古びた着物の上から骨の形がハッキリと分かるくらいだ。
「すいません。あの、水龍神社へ戻るにはどうしたらいいですか?」
(…ひっ!!)
その人の肩は氷のように冷たかった。まさかと思い、顔を覗き込む。しかし影になっていてよく見えなかった。
「あ、あの……」
「お前、美味そうだな…!」
(え、今、“美味そう”って…)
振り向いたその人は牙のようなものと鋭い爪があった。それらを私に向け、襲いかかってきた。
「きゃーー!」
悲鳴をあげた橙花の声に気づいて、ひとりふたりと次から次へと出てくる。
しかしそれは全て同じように鋭い爪、頭にはツノがある。まるで化け物だ。


