「不安がらなくていい。っと、言いたいところだが、突然こんな事になってしまったんだ。ひとつやふたつ、不安があっても仕方がないだろう」

「不安はもちろんあります。でも私は出会ったばかりのおふたりに迷惑かけてばかりで申し訳なくて仕方ないんです」


見ず知らずの私に、しかも種族が違う人間があやかしである菖さんと瑞紀さんがここまでしてくれる義理なんてないはず。

それなのに親身になって私の話を聞いてくれて、それを信じて行動してくれている。あやかしみたいに特別な力が私にあったら自分自身で行動して、解決できたかもしれないのに。

自分の不甲斐なさが胸を苦しくする。


綺麗に整えられた着物の襟をギュッと握りしめて涙を流す自分が情けなく感じる。いつ帰れるか分からない、どうしてここに来たのか。

この苦しさに押しつぶされてしまいそうだ。