着物の袖にしまっていた手を私の頭を上に優しくのせた。胸がドキッと高鳴り、熱を帯びる。


「君は優しい。そしてとても強い、勇敢な人間だ。俺もそんな風にあやかしたちと接せれるよう努力しよう」


不意に見せる笑みと優しい言葉がずるく感じた。胸の鼓動は更に加速し、彼に聞こえてしまいそうだ。

ここに来てから抱えていた不安な気持ちが一気に和らぎ、涙腺が緩む。菖さんの優しさが私の緊張を溶かし、温もりへと変えてくれたのだ。