「はい」


菖さんの言う通り、手に乗せて何が起きるのか待っていると再び彼から力が溢れ出す。


「お守りに俺の力の一部を込めた。これであやかしが襲ってきても君を守ってくれるだろう」

「そんなことまで。凄い…!あやかしの力って凄いですね!」

「あやかしの力は異能とも呼ばれている。炎や水を操るもの、癒しの力など様々だ。例えば瑞紀は地を操る。君は身をもってそれを体験しただろう」


あっ…!あの押しつぶされそうになった力の正体は瑞紀の地を操る異能。身体がみしみしと悲鳴をあげるくらい強力なものだった。


「瑞紀は地面を揺らし、変形させるだけでなく、相手に重力を与えて押し潰すことができる」


押し潰すされると聞いて一気に血の気が引いた。下手をすれば即死をしていたかもしれなかったんだ。


「怖い思いをさせてしまったな。すまなかった」

「いえ、私が菖さんの忠告を無視した結果です…」

「確かに忠告を無視したのは君の責任だ。だが、あの行動が間違ってたとも言いきれない。君は身を呈してあやかしを守った。すべての責任を負ってまであんな危険なことをする者はあやかしには一人もいない」