「いえ、それだけ分かれば十分です。そうだ、もうひとつだけ聞きたいことがあって」

「なんだ?」

「このお守りについてです。この世界に来てから光出して。今までこんなこと無かったのに」


何度も私を守ってくれた。このお守りにはきっと何かある。あやかしの世界に来て、何かがお守りに反応したのかもしれない。

「見たところ、普通のお守りのようだが。ん?微かだが、あやかしの力を感じる。触れてもいいか?」

「はい」


菖さんの手から小さい光が溢れ出した。これがあやかしの力の一部なのだろう。

しばらくして菖さんはお守りから手を離し、私の元へ戻した。


「あやかしの力は確かに感じる。だがそれだけだ。あやかしを追い払ったあの大きな力までは特定出来なかった」

「このお守りは私が16歳になった時に両親からもらったものなんです。肌身離さず持つように日頃から言われてきました」

「一見なんの変哲もないお守りだが、妙な力を秘めているかもしれない。しかもそれは君を守る時だけに発動するようになっている。不思議なものだ」

「だけど完全じゃないのか、強そうなあやかしには効果がありませんでした」

「とても古そうなお守りだ。長い時間が経ち、力も弱まってきているのだろう。橙花、お守りを俺の手にもう一度乗せてくれないか」