「異なる場所。おとぎ話じゃなかったんだ」

「君の世界には俺たちに関する記述があるのは大昔、あやかしの先祖たちが人間と交流があったからだ」

「えっ!?じゃあ、本当の話?」

「あぁ。おとぎ話と言われているのは、その世界にあやかしがいなく、見えるものすら居なくなったからだろう」


信じられない。あやかしが本当に存在していたなんて。ずっと作られた空想のものだと思っていた。

目の前にいる菖さんも瑞紀さんも襲ってきた、あのあやかしたちは実在していて、ここで生きている。

いまだに夢を見ているのではないかと自分自身に疑いをかける。

だけど一つだけ確信することが出来るものがある。それは私が瀕死状態になった時に菖さんが治してくれた時に感じた温かい力。

それは紛れもなく現実のものだった。まだ半信半疑だけど、菖さんの言葉は信じられる。命の恩人というのもあるけど、何より彼は嘘をついているようには見えない。


「本来は見えないものなんですか?じゃあどうして、私は今、菖さんたちのことが見えるんですか?」

「いや、人間の中でもごく稀に見えるものがいる。君が見えているのは、この世界に来た影響か、それとも先祖の中に見えるものがいたからか。すまない。詳しいことは俺にも分からないんだ」