「その、私はこれからどうなるのでしょうか?あやかしの世界って作り話ではなかったんですか?」

「君の世界では我々の世界は作り話という事になっているのか。まぁ、その方が都合のいいこともある」


最後の言葉に引っかかるものを感じたが、今は元の世界に帰れるかどうかが私の中で最優先だったので深くは考えないようにした。

そして菖さんは言葉を続けた。


「あやかしは作り話の生き物ではない。場所は違うが、君の世界と同じように時の流れがあり、世界がある。そして同じように生きている」

「私の世界と同じように……」


まだ全てを理解出来ず、頭の中で混乱していると瑞紀さんが菖さんに続いて話始めた。


「ここには人間はいない。いればお前も同じように食われる対象となる」

「食べられるって…!」

「全てのあやかしがそうとは限らないが、君を襲った妖はいわば下級のものたち。十分に生活が出来なくて日々飢えている。人間と違って、腹を減らすということはあまり無いが、ある程度食べていないと力を使えないで消耗するものが多い」


瑞紀さんが言う、食われる対象については菖さんが詳しく話してくれた。

人間とあやかしの違いが想像より大きくて益々混乱してきた。


「その、力っていうのは菖さんが私のケガを治してくれたあの時のものと、同じものですか?」