私は彼らがと共に、彼らが住む屋敷へと向かった。

途中、あやかしを何人か見かけた。それは全て影から私たちの様子を見るだけで襲ってくる気配はない。

菖という青年はそれほどあやかしから恐れられているということか。

私が襲われそうになった時、彼が姿を現した瞬間、あやかし達は震え上がっていた。

彼が持つ癒しの力は瀕死状態だった私の身体を一瞬のうちに回復させたあの力もそうだが、その式の力も強力なものだった。


「着いたぞ」

「ここが菖さんのお屋敷」

「そうだ。と言っても俺もここに住まわせてもらっている身だがな」

「え?」

「詳しいことは中で話そう」


中に入ると何人もの使用人たちが出迎えてくれ、そのうちの1人が部屋まで案内してくれた。


「橙花は今夜、ここを使うといい。その泥だらけの着物を着替えたら隣にある俺の部屋に来るように。では失礼する」

制服の泥、菖さんに言われるまで気付きもしなかった。