茜色の夕日が照りつけ、水神神社に建てられた龍の像に光が指す。
「橙花帰らないの?」
「あっ…うん。先帰ってて」
友だちを先に帰して橙花はまた神社の方に目を向ける。何かあるといつもここに来る。この日も龍神様に話を聞いてもらうために訪れた。
「龍神様、私の話聞いてくれますか?」
その日あった嬉しいこと、悲しいこと、悔しかったこと。友だちにも家族にも言いずらないことは全部をぶつけるように話す。
完全に私の自己満足にすぎない。
存在しない神様、しかも石でできた建造物に愚痴をなげかけて、傍から見れば痛々しい子にしか見えないだろう。
全てを話し終えると、バカバカしく思えてきて浅いため息を吐く。
「帰ろう」
立ち上がって龍神様に背をむけた次の瞬間、神社の奥から怪しげな声が聞こえてきた。
『か……らず……えに…く』
所々かすれていて上手く聞き取ることが出来なかった。気のせいだと思い、立ち去ろうとした。
そのとき、1回の瞬きをした。次に目を開けるとそこには見たことのない景色が広がっていた。
「橙花帰らないの?」
「あっ…うん。先帰ってて」
友だちを先に帰して橙花はまた神社の方に目を向ける。何かあるといつもここに来る。この日も龍神様に話を聞いてもらうために訪れた。
「龍神様、私の話聞いてくれますか?」
その日あった嬉しいこと、悲しいこと、悔しかったこと。友だちにも家族にも言いずらないことは全部をぶつけるように話す。
完全に私の自己満足にすぎない。
存在しない神様、しかも石でできた建造物に愚痴をなげかけて、傍から見れば痛々しい子にしか見えないだろう。
全てを話し終えると、バカバカしく思えてきて浅いため息を吐く。
「帰ろう」
立ち上がって龍神様に背をむけた次の瞬間、神社の奥から怪しげな声が聞こえてきた。
『か……らず……えに…く』
所々かすれていて上手く聞き取ることが出来なかった。気のせいだと思い、立ち去ろうとした。
そのとき、1回の瞬きをした。次に目を開けるとそこには見たことのない景色が広がっていた。