地元の小さな公園の日陰で安いかき氷を口に運びながら、外をただ見つめる。
ジリジリと額に当たる暑さ、外から聞こえる蝉の声。今年は梅雨入りが遅れてるのをトドメにジメジメという言葉も追加された。

昔から医者になりたいと夢見て、何もない田舎から東京の医学部へと進学した。一生懸命、勉強をしてきてやっと掴んだ夢の第一歩…なんて、そんな話ならみんな感動してくれるんだろう。

勉強は昔からそれなりに出来たし、友達とも遊んでても成績が落ちることもなかった。顔はそこそこでモテてたし、運動もそこそこ。受験前に少しの努力を足して、受かった大学。

そこそこの僕が頑張れたのは大学2年の前期までだった。きっと今まで通り適当にこなしていれば卒業もできると考えた僕の自信と自意識過剰が追いつかなくなって、やる気も心も折れた僕は夏休みに入る前に休学届を大学へ提出した。

晴れて将来を見失った成人の男が田舎に帰り、ただ外を眺めている。それが今の自分の光景。

「つまんない毎日」

大学に進学しても、田舎に帰ってもつまらない毎日を過ごしていた気がする。何もする気力も起きない、それでも何かしなければと外に出たはいいものの、この天気の有様だ。

せめてまだ涼しいと感じれる場所へと重たい腰を上げて、自転車で移動した。