3月もお彼岸が過ぎると朝が明るくなるのも早くなった。今日は3月23日(土)、時計を見るとまだ6時を過ぎたところだった。僕の横では瞳が眠っている。彼女の眠っている顔を見ているとまた抱きたくなった。それで眠ったままの瞳を愛し始める。
それに気づいて目覚めた瞳は僕に応えてくれる。それが彼女の良いところだ。それでまた二人は夢中で愛し合う。これで何度目だろう。昨晩、彼女が訪ねて来てから3度目になるだろうか。まだまだ慣れていないところがあるけど毎回新しい発見がある。ひとしきり愛し合ったところで、また二人とも眠りに落ちていく。
ドアホンの音で目が覚めた。もう11時を過ぎていた。宅配を頼んだ記憶はない。なかなか鳴り止まないのでカメラをみると目を疑った。映っていたのは妹の美幸だった。美幸がどうしてここにいるんだ?
「どなた様ですか?」
「お兄ちゃん、美幸です。開けてください」
「どうしたんだ、突然、訪ねて来て?」
「いいから開けて」
ドアを開けると正しく美幸が立っていた。横に赤いスーツケースを引いている。すぐに玄関へ入ってきた。そして目ざとく玄関に脱いであった瞳の靴を見つけた。
「誰かいるの?」
「ああ、友人の飯塚さんが遊びに来ているけど」
「友人って、お兄ちゃんの恋人?」
「まあ、そうかな」
美幸が靴を脱いで上がろうとする。瞳がベッドで寝ているのを見られてはまずいと思い、とっさにさえぎった。寝室の方から瞳の声がする。
「誠、どうしたの、宅配でも届いたの?」
「いや、妹が訪ねてきた」
「ちょっと待って」
しばらくして、身づくろいをした瞳が出てきた。そして美幸をじっとみた。美幸もじっと瞳を見ている。鉢合わせか、まずいことになった。
「美幸、とりあえず入って」
美幸はスーツケースを玄関に残して入ってきた。そしてリビングのソファーに座った。少し離れて瞳も座った。並んで座ると二人は姉妹と言っても良いくらい容姿と雰囲気が似ていた。
「飯塚さん、妹の美幸です」
「初めまして、兄がお世話になっています」
「飯塚 瞳です。こちらこそ。お兄様とは同期入社でいつもお世話になっています。妹さんがいるとは聞いていましたが」
「妹と言っても義理の妹です。血は繋がっていません。兄の父親と私の母親が再婚しましたので」
「道理でお顔が似ていないと思いました。それでは私はこれで失礼します。ご兄妹で積もるお話もおありでしょうから」
二人が張り合っているようないやな雰囲気を感じた。瞳は寝室に戻り、バッグを持って玄関へ向かった。僕はすぐに後を追った。
「申し訳ない。せっかく来てもらったのに。訪ねてくるなんて聞いていなかったから」
「そうみたいね、じゃあ」
瞳はそっけなく言うと帰っていった。リビングに戻ると美幸は邪魔者を追い払ったというようにニコニコしていた。美幸とは昨年3月に僕が就職して上京したとき以来だった。それからは仕事が忙しかったこともあり、一度も帰省していなかった。
美幸は小さい時からとても可愛かった。目がぱっちりして、髪が長くて、すらっとしていた。1年前よりずっと綺麗で可愛くなっている。瞳は起きがけでメイクもしていなかったからこんな美幸を見て引け目を感じたかもしれない。
「どうしたんだ。急に訪ねて来て」
「お兄ちゃんのところに住まわせてもらおうと思って」
「ええっ、ここは1LDKだぞ、二人でなんか住めないと思うけど」
「昼間はお互いに働いているから、一緒になるのは朝と夜だけでしょう、大丈夫、大丈夫」
「大丈夫じゃないと思うけど」
「お兄ちゃん、覚えている? 私との約束」
「約束って?」
「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんにしてくれるって約束したこと」
「いつのこと?」
「美幸が小さいとき、覚えてないの?」
「ああ、覚えてない。はっきりとは」
それに気づいて目覚めた瞳は僕に応えてくれる。それが彼女の良いところだ。それでまた二人は夢中で愛し合う。これで何度目だろう。昨晩、彼女が訪ねて来てから3度目になるだろうか。まだまだ慣れていないところがあるけど毎回新しい発見がある。ひとしきり愛し合ったところで、また二人とも眠りに落ちていく。
ドアホンの音で目が覚めた。もう11時を過ぎていた。宅配を頼んだ記憶はない。なかなか鳴り止まないのでカメラをみると目を疑った。映っていたのは妹の美幸だった。美幸がどうしてここにいるんだ?
「どなた様ですか?」
「お兄ちゃん、美幸です。開けてください」
「どうしたんだ、突然、訪ねて来て?」
「いいから開けて」
ドアを開けると正しく美幸が立っていた。横に赤いスーツケースを引いている。すぐに玄関へ入ってきた。そして目ざとく玄関に脱いであった瞳の靴を見つけた。
「誰かいるの?」
「ああ、友人の飯塚さんが遊びに来ているけど」
「友人って、お兄ちゃんの恋人?」
「まあ、そうかな」
美幸が靴を脱いで上がろうとする。瞳がベッドで寝ているのを見られてはまずいと思い、とっさにさえぎった。寝室の方から瞳の声がする。
「誠、どうしたの、宅配でも届いたの?」
「いや、妹が訪ねてきた」
「ちょっと待って」
しばらくして、身づくろいをした瞳が出てきた。そして美幸をじっとみた。美幸もじっと瞳を見ている。鉢合わせか、まずいことになった。
「美幸、とりあえず入って」
美幸はスーツケースを玄関に残して入ってきた。そしてリビングのソファーに座った。少し離れて瞳も座った。並んで座ると二人は姉妹と言っても良いくらい容姿と雰囲気が似ていた。
「飯塚さん、妹の美幸です」
「初めまして、兄がお世話になっています」
「飯塚 瞳です。こちらこそ。お兄様とは同期入社でいつもお世話になっています。妹さんがいるとは聞いていましたが」
「妹と言っても義理の妹です。血は繋がっていません。兄の父親と私の母親が再婚しましたので」
「道理でお顔が似ていないと思いました。それでは私はこれで失礼します。ご兄妹で積もるお話もおありでしょうから」
二人が張り合っているようないやな雰囲気を感じた。瞳は寝室に戻り、バッグを持って玄関へ向かった。僕はすぐに後を追った。
「申し訳ない。せっかく来てもらったのに。訪ねてくるなんて聞いていなかったから」
「そうみたいね、じゃあ」
瞳はそっけなく言うと帰っていった。リビングに戻ると美幸は邪魔者を追い払ったというようにニコニコしていた。美幸とは昨年3月に僕が就職して上京したとき以来だった。それからは仕事が忙しかったこともあり、一度も帰省していなかった。
美幸は小さい時からとても可愛かった。目がぱっちりして、髪が長くて、すらっとしていた。1年前よりずっと綺麗で可愛くなっている。瞳は起きがけでメイクもしていなかったからこんな美幸を見て引け目を感じたかもしれない。
「どうしたんだ。急に訪ねて来て」
「お兄ちゃんのところに住まわせてもらおうと思って」
「ええっ、ここは1LDKだぞ、二人でなんか住めないと思うけど」
「昼間はお互いに働いているから、一緒になるのは朝と夜だけでしょう、大丈夫、大丈夫」
「大丈夫じゃないと思うけど」
「お兄ちゃん、覚えている? 私との約束」
「約束って?」
「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんにしてくれるって約束したこと」
「いつのこと?」
「美幸が小さいとき、覚えてないの?」
「ああ、覚えてない。はっきりとは」