梅雨に入り、雨が降る日が続く。
「おい、爽夜。助けてくれよ~」
そんな情けない風斗の声が聞こえる。
「助けてって言われてもな……どうせ、試験の問題が難しいとかだろ?」
風斗はこくこくと頷きながら。
「そうだよ~!さすが爽夜!わかってんじゃん。てことで、勉強教えて──」
「無理。僕だって助けてほしいくらいだよ」
そう言って一息つくと後ろから誰かの気配がした。
「……なら、わたしたちと勉強する~?」
ふわりとミルクティーベージュの髪をなびかせる凪乃さん。
「え、は⁉瑠璃川凪乃さま!」
「凪乃さん。こんにちは」
僕が挨拶をすると、凪乃さんは小さく手を振り返してくれた。
「爽夜くんがいたから声掛けちゃった。もしかして、お取込み中~?」
こてんと首を傾げる凪乃さん。
「えっと──」
「いえ!全く!」
風斗が勢いよく答えると凪乃さんの隣にいた凪乃波がクスッと笑った。
「い、今……おい、爽夜!今の見たか!凪乃波さまが笑ったぞ!」
興奮した様子で僕の肩をゆすっている風斗。
「なによそれ、変なの。私だって笑うわよ」
お腹を抱えながら笑う凪乃波。
「まあ、一緒に勉強しましょ~?」
凪乃さんが言うと、激しく頷く風斗。
「お二人と勉強をできるなんて最高です!」
そして、四人で河川敷の近くにある市立図書館に来た。
「岩倉くん、わかる~?一応去年学んだ内容だからわかるよ。わからないのあったらいつでも聞いてね~?」
凪乃さんの神対応に満面の笑みを浮かべる風斗に苦笑する僕と凪乃波。
二時間近く試験勉強をした後、河川敷で休憩しようということになった。
風斗は凪乃さんにメロメロになっていて、僕と凪乃波が隣に並んで歩いている。
河川敷の近くまで来ると。
「……懐かしいな」
凪乃波がそう呟いているのが聞こえた。
「……?ここを知ってるの?」
そう聞くと、凪乃波はハッとした顔をしてふるふると首を横に振った。
「なんでもない。知ってるところに似てたってだけ」
少し凪乃波の反応に違和感を覚えたが、そのまま歩く。
「……勉強お疲れ様~」
凪乃さんが僕と風斗、凪乃波にジュースを奢ってくれた。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
みんなで河川敷の芝生に座り、ジュースを開ける。
凪乃さんは川を見つめて。
「川って綺麗だと思わない?キラキラしてて、人口的じゃなくて、自然の美しさがわかるっていうか~」
ふわりと言った言葉だったが僕も凪乃さんが言っていることに共感した。
「だから、わたしは川とか大好きなの」
川が好き。『凪乃』……『なの』……。
どこかで聞いたことがあるような。
勘違いだろうか。
考えれば考えるほどわからなくなっていく。
「さ、もうそろそろ帰らなきゃ。行きましょ、凪乃波ちゃん。みんな気を付けてね~バイバイ」
凪乃さんは僕と風斗に向かって大きく手を振る。
凪乃波も小さく手を振ってくれる。
二人の姿が見えなくなったあと。
「いやぁ~。やっぱ最高だわ、瑠璃川姉妹。美人姉妹で優しいとか完璧としか言えないわ」
一人で幸せに浸っている風斗。
「……」
「どうかした?」
そんな声が聞こえ、ハッとする。
「い、いや、なんでもない。ちょっと考え事」
「爽夜が考え事なんて珍しいな。……なんかあれば俺に相談しろよー」
そう言って僕の肩をポンッと軽く叩く風斗。
「うん、ありがと」
『なの』という言葉はやはりどこかで聞いたことがある。
それが気になって仕方がないのだ。
今日は疲れたからなのか、すぐに寝つけることができた。
「おい、爽夜。助けてくれよ~」
そんな情けない風斗の声が聞こえる。
「助けてって言われてもな……どうせ、試験の問題が難しいとかだろ?」
風斗はこくこくと頷きながら。
「そうだよ~!さすが爽夜!わかってんじゃん。てことで、勉強教えて──」
「無理。僕だって助けてほしいくらいだよ」
そう言って一息つくと後ろから誰かの気配がした。
「……なら、わたしたちと勉強する~?」
ふわりとミルクティーベージュの髪をなびかせる凪乃さん。
「え、は⁉瑠璃川凪乃さま!」
「凪乃さん。こんにちは」
僕が挨拶をすると、凪乃さんは小さく手を振り返してくれた。
「爽夜くんがいたから声掛けちゃった。もしかして、お取込み中~?」
こてんと首を傾げる凪乃さん。
「えっと──」
「いえ!全く!」
風斗が勢いよく答えると凪乃さんの隣にいた凪乃波がクスッと笑った。
「い、今……おい、爽夜!今の見たか!凪乃波さまが笑ったぞ!」
興奮した様子で僕の肩をゆすっている風斗。
「なによそれ、変なの。私だって笑うわよ」
お腹を抱えながら笑う凪乃波。
「まあ、一緒に勉強しましょ~?」
凪乃さんが言うと、激しく頷く風斗。
「お二人と勉強をできるなんて最高です!」
そして、四人で河川敷の近くにある市立図書館に来た。
「岩倉くん、わかる~?一応去年学んだ内容だからわかるよ。わからないのあったらいつでも聞いてね~?」
凪乃さんの神対応に満面の笑みを浮かべる風斗に苦笑する僕と凪乃波。
二時間近く試験勉強をした後、河川敷で休憩しようということになった。
風斗は凪乃さんにメロメロになっていて、僕と凪乃波が隣に並んで歩いている。
河川敷の近くまで来ると。
「……懐かしいな」
凪乃波がそう呟いているのが聞こえた。
「……?ここを知ってるの?」
そう聞くと、凪乃波はハッとした顔をしてふるふると首を横に振った。
「なんでもない。知ってるところに似てたってだけ」
少し凪乃波の反応に違和感を覚えたが、そのまま歩く。
「……勉強お疲れ様~」
凪乃さんが僕と風斗、凪乃波にジュースを奢ってくれた。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
みんなで河川敷の芝生に座り、ジュースを開ける。
凪乃さんは川を見つめて。
「川って綺麗だと思わない?キラキラしてて、人口的じゃなくて、自然の美しさがわかるっていうか~」
ふわりと言った言葉だったが僕も凪乃さんが言っていることに共感した。
「だから、わたしは川とか大好きなの」
川が好き。『凪乃』……『なの』……。
どこかで聞いたことがあるような。
勘違いだろうか。
考えれば考えるほどわからなくなっていく。
「さ、もうそろそろ帰らなきゃ。行きましょ、凪乃波ちゃん。みんな気を付けてね~バイバイ」
凪乃さんは僕と風斗に向かって大きく手を振る。
凪乃波も小さく手を振ってくれる。
二人の姿が見えなくなったあと。
「いやぁ~。やっぱ最高だわ、瑠璃川姉妹。美人姉妹で優しいとか完璧としか言えないわ」
一人で幸せに浸っている風斗。
「……」
「どうかした?」
そんな声が聞こえ、ハッとする。
「い、いや、なんでもない。ちょっと考え事」
「爽夜が考え事なんて珍しいな。……なんかあれば俺に相談しろよー」
そう言って僕の肩をポンッと軽く叩く風斗。
「うん、ありがと」
『なの』という言葉はやはりどこかで聞いたことがある。
それが気になって仕方がないのだ。
今日は疲れたからなのか、すぐに寝つけることができた。