僕があの河川敷へ行かなくなって何日も経った。
その間家でひたすら小説を読み、塾がある日もあそこを通らないようにした。
そして気がつけば夏休み最終日となっていた。
午前中に残っていた夏期講習を済ませ、家に向かって歩いていると後ろから肩を叩かれた。
振り返ると白シャツに黄色のチノパンを履いた紅音さんが立っていた。
あの時と変わらない笑顔を見せて
僕たちはあの河川敷へ向かった。
お互い色々言いたいことはあったが話すのはあの場所が良かった。
「急に来なくなってすみません」
着くと同時に僕は紅音さんに謝る。
「こちらこそごめん、いつも無理矢理付き合わせて、、配慮が無かったと思う。」
「いやそんな事は、、ただ彼氏がいる人と会うのは良くないと思って、、」
断罪されても良いと思っていたので彼女からの突然の謝罪に動揺する。
「やっぱりそうか、彬人君は知らなかったか。」
紅音さんは納得といった表情をしてそう言った。
「私、君と初めて会った日に彼とは別れたの。」
紅音さんはゆっくり静かに口を開いた。
え、
「君が河原でいつも気持ち良さそうに本を読んでたから、私も同じことをすれば気持ちが晴れるかなって思ってあの日いたの。」
「結局耐えられなくなって君に助けられちゃったけどね。」
「あの時は、ありがとう。」
紅音さんの口から語られる真実に僕は言葉を失い、それと同時に自分のしたことに深く反省した。
「紅音さん、本当にすみません。僕が初めから聞いていれば、、」
僕は先ほどより丁寧に頭を下げる。
「私たち連絡交換してなかったから仕方がないよ。今からでも交換しよう、誤解が生まれないように!」
紅音さんはにっこりとした笑顔で連絡先を僕に見せる。
急いで携帯電話を取り出し登録する。僕の少ない連絡先が増えるのは久しぶりだ。
それから前のようにまたひたすら僕たちは話した。これまで話してこなかった人間関係のことや紅音さんの恋人の話など本当に色々なことを。
「今日で夏も終わりですね」
気がつけば日も高くなり、持ってきたレモンスカッシュが空になった。
「そうだね、でも学校同じだしすぐ会うかもね」
「そう、、ですね、、」
紅音さんとの誤解は解けたがそれでもまだ僕は会うのが怖かった。また何か関係が変わってしまうのではないかという恐怖が心の奥底にあった。
「花火大会の時にここに来るのは君をいじるためって言ったこと覚えてる?」
紅音さんは学校の話をやめて思い出話に切り替えた。自分で作った流れなのに気を使わせてしまい、自分に向かって心の中で舌打ちをする。
「覚えてます。まあそうだろうなと思ってましたけど」
取り繕ったような笑顔で応える。
「あれ実は嘘なの、本当は君のことが好きだからだよ」
紅音さんは真っ直ぐ僕の顔を見つめて言った。
え、
言っていることを飲み込めていないが頬が熱くなっているのだけ自分でもよくわかった。
「なーんてね、冗談だよびっくりした?」
しばらく沈黙してから紅音さんはいつものように悪戯っぽい顔をして笑って言った。
そして川の方へ顔を向けて"もう帰るね"と言いながら立ち上がる。
待って、、
ここで逃したらだめだと心が、魂が僕を動かし、気がついたら階段を上がろうとしていた紅音さんの手を掴んでいた。
「僕も...先輩が...」
心の奥で押し込み続けていた言葉を彼女に伝える。
振り返った彼女の顔はあかね色に染まっていた。
その間家でひたすら小説を読み、塾がある日もあそこを通らないようにした。
そして気がつけば夏休み最終日となっていた。
午前中に残っていた夏期講習を済ませ、家に向かって歩いていると後ろから肩を叩かれた。
振り返ると白シャツに黄色のチノパンを履いた紅音さんが立っていた。
あの時と変わらない笑顔を見せて
僕たちはあの河川敷へ向かった。
お互い色々言いたいことはあったが話すのはあの場所が良かった。
「急に来なくなってすみません」
着くと同時に僕は紅音さんに謝る。
「こちらこそごめん、いつも無理矢理付き合わせて、、配慮が無かったと思う。」
「いやそんな事は、、ただ彼氏がいる人と会うのは良くないと思って、、」
断罪されても良いと思っていたので彼女からの突然の謝罪に動揺する。
「やっぱりそうか、彬人君は知らなかったか。」
紅音さんは納得といった表情をしてそう言った。
「私、君と初めて会った日に彼とは別れたの。」
紅音さんはゆっくり静かに口を開いた。
え、
「君が河原でいつも気持ち良さそうに本を読んでたから、私も同じことをすれば気持ちが晴れるかなって思ってあの日いたの。」
「結局耐えられなくなって君に助けられちゃったけどね。」
「あの時は、ありがとう。」
紅音さんの口から語られる真実に僕は言葉を失い、それと同時に自分のしたことに深く反省した。
「紅音さん、本当にすみません。僕が初めから聞いていれば、、」
僕は先ほどより丁寧に頭を下げる。
「私たち連絡交換してなかったから仕方がないよ。今からでも交換しよう、誤解が生まれないように!」
紅音さんはにっこりとした笑顔で連絡先を僕に見せる。
急いで携帯電話を取り出し登録する。僕の少ない連絡先が増えるのは久しぶりだ。
それから前のようにまたひたすら僕たちは話した。これまで話してこなかった人間関係のことや紅音さんの恋人の話など本当に色々なことを。
「今日で夏も終わりですね」
気がつけば日も高くなり、持ってきたレモンスカッシュが空になった。
「そうだね、でも学校同じだしすぐ会うかもね」
「そう、、ですね、、」
紅音さんとの誤解は解けたがそれでもまだ僕は会うのが怖かった。また何か関係が変わってしまうのではないかという恐怖が心の奥底にあった。
「花火大会の時にここに来るのは君をいじるためって言ったこと覚えてる?」
紅音さんは学校の話をやめて思い出話に切り替えた。自分で作った流れなのに気を使わせてしまい、自分に向かって心の中で舌打ちをする。
「覚えてます。まあそうだろうなと思ってましたけど」
取り繕ったような笑顔で応える。
「あれ実は嘘なの、本当は君のことが好きだからだよ」
紅音さんは真っ直ぐ僕の顔を見つめて言った。
え、
言っていることを飲み込めていないが頬が熱くなっているのだけ自分でもよくわかった。
「なーんてね、冗談だよびっくりした?」
しばらく沈黙してから紅音さんはいつものように悪戯っぽい顔をして笑って言った。
そして川の方へ顔を向けて"もう帰るね"と言いながら立ち上がる。
待って、、
ここで逃したらだめだと心が、魂が僕を動かし、気がついたら階段を上がろうとしていた紅音さんの手を掴んでいた。
「僕も...先輩が...」
心の奥で押し込み続けていた言葉を彼女に伝える。
振り返った彼女の顔はあかね色に染まっていた。