花火大会から3日ほど経ち登校日で久しぶりに学校へ向かった。

大抵の人はこれで夏休み気分から現実に引き戻され、残された宿題をやることになるのだろうが僕は違った。

暑い日に学校へ呼び出されることより、紅音さんに会うことの方が嫌だった。

同じ学校なのだから会うのは難しくないが、どうしてだろうか、あの河川敷以外の場所で会う気にならなかったのだ。


もしかしたら、学校での紅音さんを見たくなかったのかもしれない。


だが運命の悪戯だろうか普段は会わないのにこういう時に限って人は出会ってしまうものだ...


休み時間に入り僕は飲み物を買いに行こうと自販機へ向かった。


教室を出て階段を降るとその先に紅音先輩がいた。


どうやら彼女も飲み物を買った後らしく紅茶のペットボトルを持っている。


そのまま進むと向こうもこちらに気づき、目が合う。


ここで知らない顔をしても良いのだが、次会う時に何か言われそうなので僕は勇気を出して声をかけようと口を開く。


しかしすぐにその考えを捨てた。


彼女の隣には男がいたのだ。

紅音さんに引けを取らない整った容姿、高くスラッとした体型、いかにも陽キャというような雰囲気だ。


それを見た瞬間、僕は思わずその場から逃げ出してした。


これだから彼女に学校で会いたくなかった,,,


空き教室を見つけ、僕はそこに座り込んだ。


もっと早く会うのをやめていれば、こんな勘違いをすることもなかった,,,


後で友達に聞くと予想通りの返答だった､､､紅音さんの彼氏で、サッカー部のキャプテンらしい。


あらためて僕と先輩にある見えない壁を見せられたような気がした。


それ以来、あの河川敷へ行くのをやめ、紅音さんと僕が会うことはなくなった。