正直、使用人たちから和史の話を聞けば聞くほど、彼が心配だった。彼は寝る間も惜しんで働いている。月橋家の事業をいくつか引き継いでいるのに合わせ、どうやら自らもいくつかの事業を立ち上げているらしい。
それを聞いた姫子は、卒倒しそうだった。だって、そうじゃないか。
いくら和史が有能だったとしても、彼一人では限界があるのだから。
(だけど、余計な口を出すなと初めにくぎを刺されてしまったもの。私は大人しくしていることしか出来ない)
姫子は和史に従うしかない。だって、自分は彼に借金を肩代わりしてもらったのだから。逆らうことなんて、出来っこないのだ。
「かといって、いきなり女性を連れてきて、ほったらかしというのはいかがなものかと」
いすずが何処か怒ったような声でそう呟く。彼女の言葉も正しい。
姫子はここにきて十日。ほぼずっと放置されている。
食事を共にするどころか、顔を合わせるのさえ朝だけだ。婚姻前なので寝室が別なのは当然ではあるが、もう一緒にいる時間が欲しいとは思ってしまう。口には決して出さないが。
「姫子さまも、不満があればなんなりとお申し付けくださいませ。和史さまは気が利きませんので」
淡々と告げられたいすずの言葉に、姫子はぽかんとしてしまった。
だって、姫子の記憶の中にある和史は。誰よりも気を遣ってくれて、周りを見ている人だったのだから。
それを聞いた姫子は、卒倒しそうだった。だって、そうじゃないか。
いくら和史が有能だったとしても、彼一人では限界があるのだから。
(だけど、余計な口を出すなと初めにくぎを刺されてしまったもの。私は大人しくしていることしか出来ない)
姫子は和史に従うしかない。だって、自分は彼に借金を肩代わりしてもらったのだから。逆らうことなんて、出来っこないのだ。
「かといって、いきなり女性を連れてきて、ほったらかしというのはいかがなものかと」
いすずが何処か怒ったような声でそう呟く。彼女の言葉も正しい。
姫子はここにきて十日。ほぼずっと放置されている。
食事を共にするどころか、顔を合わせるのさえ朝だけだ。婚姻前なので寝室が別なのは当然ではあるが、もう一緒にいる時間が欲しいとは思ってしまう。口には決して出さないが。
「姫子さまも、不満があればなんなりとお申し付けくださいませ。和史さまは気が利きませんので」
淡々と告げられたいすずの言葉に、姫子はぽかんとしてしまった。
だって、姫子の記憶の中にある和史は。誰よりも気を遣ってくれて、周りを見ている人だったのだから。

