そうすれば、部屋の中に一気に意識を奪われる。なんだろうか。これが本当の和洋折衷というべきなのか。とにかく、和と洋が上手くかみ合っているというか……。

「なにを見惚れている。お前も今後ここに住むんだから、一々見惚れていたら身が持たないぞ」
「……は、え?」

 姫子の隣を通り抜けて、和史が室内の中央を陣取るソファーに腰掛ける。

 ……しかし、姫子にはそんなことどうでもよかった。だって、彼は今、なんと言ったのだろうか。

「なんだその間抜け面は」
「い、いえ、その。今、聞き間違いでは無ければ私がここに住むと……」

 小首をかしげて聞こえたような言葉を繰り返す。きっと、なにかの間違いだ。

 そう思う姫子を他所に、和史はソファーの背もたれに背中を預けて、脚を組む。とても偉そうな態度だった。

「なにを言っているんだ。お前は俺と結婚するんだから、当然だろう」
「け、結婚!?」

 聞き馴染のない言葉に、姫子は大きな声を上げてしまう。和史はその声を聞いて迷惑そうに顔をしかめながら、大きく頷いていた。

「お前は俺に買われたんだ。……妻として、な」