ずっと私の中には懸念がある。佐熊くんと仲の良いあの女性はいいのだろうか?私と付き合ってはいるけどあの人とは?疑問と懸念が残る。これがある以上、私は手放しに喜べない。そもそも、恋人になるつもりなどなかったのだ。あぁもうダメ。

「佐熊くん。」

「どうした?」

「あーっと。うん。」

「なんだ?はっきり言ってみろ。」

「わ、分かった。佐熊くんって仲の良い女の人いたよね?」

「ああ。母ちゃんのことか?」

「母ちゃん!?」

「うん。」

《母ちゃん?えーっと母ちゃん。》

「わはは。なんだ、その顔。」

「えっなんか変?」

「いや…………かわいい。」

「そう。ありがとう。」

 顔に熱が集中して茹でダコになっているであろう。

「俺、ちょっと飲みもん買ってくるわ。」

 そう言って立ち去る、佐熊くんの背中はかっこよかった。