いつの間にか起きていた陽葵が、日記帳を抱きしめながら力なく笑った。



「見ちゃった?」


「ごめん。あの、最初の数行だけ見ちゃって…。って、それも最低だよね。ごめん」


「ううん、別にいいの。友達なら、これも言わなきゃなって思ってたから」



陽葵がさっき見たページをもう一度開いて、僕に向かって見せてくれた。



「これは私が一年前から書き始めてる日記。…あのね、私、病気なんだ」


「…え?」



不謹慎だけど、陽葵の言っていることが最初、ドッキリか何かかと疑ってしまった。


だってあまりにも陽葵と病気の言葉が無縁すぎて、ピンと来なかったから。



「病気がわかったのは、三年前とかかな。体調がいい今日みたいな日だと病気って言わないとわからないくらい普通なんだけど、一応大病なの。余命宣告もされちゃってて、九月まで生きれるかわかんないの」