ポタポタと陽葵の日記帳を僕の涙で汚してしまい、慌てて離れる。


本当に陽葵は僕が想いを伝えたことを日記には書かなかったんだ。


もうこんなのラブレターじゃないか。陽葵は最後の最後まで僕への想いを残してくれた。



「…ん?」



机の上に置いていた花束をもう一度手に取ってから、ふと花と花の間に隠すようにして挟まっていた小さな手紙のようなものを見つける。


それは陽葵の字で書かれたメッセージカードだった。



海斗くんへ

お誕生日、おめでとう!
私が海斗くんへこの花束を送ろうと思った理由は、花言葉からです。
海斗くんが私にくれた“憧れ”じゃなくてもう一つの方。

“私はあなただけを見つめる”

毎日記憶をなくして海斗くんとはじめましてを繰り返していても、私は毎日毎日キミに恋をしていたよ。
キミと過ごしたこの夏を私は絶対に忘れない。


向坂陽葵より