陽葵は僕たちが出会う少し前から、僕のことを知っていたんだ。


そんなこと…知らなかった。



日記は陽葵の誕生日、8月26日で終わっていた。





8月26日
今日は最高の誕生日!なんと、海斗くんがお祝いしてくれた。
私みたいだからって理由と花言葉の“憧れ”から向日葵の花束をくれた。
すっごくすーっごく嬉しかった。
私は今までずっと自分の気持ちに蓋をしてきたけど、今なら素直に言える気がする。
海斗くんが好き。
できることなら、この想いを直接海斗くんに伝えたかった。
でも私は伝えない。海斗くんは私がいなくなってしまったあとも、きっと私のことを想い続けてくれるから。
それだけは嫌だった。もういない私にいつまでも縛られてほしくない。
海斗くんには明日が続いていくんだから。未来があるから。
死んだ私のことなんていつまでも想ってくれなくていい。
次は、生まれ変わった私を好きになってもらうんだ。
病気なんかで余命を気にしない健康で当たり前に昨日を覚えていられる、そんな私を。
私はきっと海斗くんの誕生日を直接祝ってあげられない。
自分の体だからわかるんだ。だから、私の想いもあの花束に込めることにした。
海斗くんは私にぴったりなお花だって言ってくれたけど、向日葵は海斗くんに捧げるのにぴったりなお花だから。
海斗くんと出会えて、私は幸せだった。
絶対に絶対に忘れたくない。この気持ちは来世まで絶対持っていくんだ。
大好きだよ、海斗くん。