「…え?」



あるページで、読み進めていた手を思わず止める。





7月10日
散歩をしていたら不思議な男の子を見つけた。
海がよく見える日陰になっている階段で静かに本を読んでいた。
あまりにも集中していたから声をかけられなかったけど、あんなに夢中になるくらい何を読んでいたんだろう?


7月11日
今日もあの男の子がいた。近くの高校の制服を着ていた。
真剣に本を読んでいる横顔がすごく綺麗で、思わず見惚れちゃった。





7月23日
やっとあの男の子に話しかけられた!
名前は丹波海斗くん。友達になってくれた。
私が昨日の記憶を覚えていられないことを知って、“たとえば面白い本があったとした時、結末を忘れられるなら何度だって感動を味わえるってことでしょ?そんなの最高じゃん”って言ってきた。そんなこと初めて言われて思わず笑っちゃった。でも…嬉しかったな。
明日も話しかけて。もっと彼のことを知りたい。