「僕は丹波海斗(たんばかいと)


「海斗くん!海斗くんはいくつ?」


「今高一」


「え!一緒だ!」


「なんだ、タメだったんだ」


「うわ、清々しいほどの変わりよう!もしかして、私のこと年上だと思ってたんでしょ?」



図星だったけど、それを誤魔化すように明るく笑う彼女から目を逸らして本に視線を落とした。


この時の僕はこんなに明るく笑っている彼女が、まさか考えもつかないくらい大きなものを抱えて生きていたなんてちっとも気づかなかったんだ。





どのくらい時間が経ったんだろう。


本を読み終わった時には海の向こうに夕日が沈んでいて、すっかり集中してしまっていたことに気づいた。


そういえば隣には陽葵がいたはずなのに、全然気にならなかったな。