「…あら、海斗くん。久しぶりね」



陽葵のお母さんと会うのは、陽葵のお葬式以来だった。


僕は向日葵の花束を受け取ったその足で、いてもたってもいられなくなり陽葵の家まで来ていた。



「すみません、お線香を上げに来るのが遅くなってしまって…」


「いいのよ。海斗くんにも色々と気持ちの整理をつける時間が必要だっただろうし」



陽葵のお母さんが僕の胸に抱かれている向日葵の花束に視線を向けてきた。



「…これ、陽葵がくれたんです。今日、僕の誕生日だから。陽葵が花屋に予約してくれていたみたいで…」


「…そう。陽葵の誕生日にも、海斗くんがその花束をくれたわよね。陽葵ったら、本当に嬉しそうに自慢してきたのよ」



随分と痩せた様子の陽葵のお母さんが、懐かしむように目を細めて優しく笑った。



「そういえばね、次海斗くんが来た時に、見せようと思っていた場所があるの」