それから僕たちは他愛もない話をしながら、ゲームが続いているのかいないのかわからないまま線香花火は残り一本になっていた。



「最後の一本は陽葵がやっていいよ」


「本当?ありがとう」



火をつけてあげると、陽葵は落ちないように必死に火を見守りながらぎゅっと手が震えないように握りしめていた。



「…私は、明日が来ることが怖いの」


「…え?」



それは、今まで眩しい笑顔しか見せてこなかった陽葵の初めての弱々しい本音だった。



「こんなこと今しか言わないから、だから…」


「…うん。いいよ。今だけでいいから、陽葵の本音を聞かせてよ」



僕は気づいたらそんな陽葵を優しく抱きしめていた。