そんなことをしなくても陽葵が覚えていられるように、昨日を憶えている明日の陽葵を作れるように。


それがきっと、陽葵の一番の願いだから。



「…ねえ、海斗くん。ゲームしようよ」


「ゲーム?」



陽葵が残っていた線香花火を僕に向かって一本差し出してきた。



「火が消えるまでは本音しか言っちゃダメゲーム。嘘は禁止ね」



返事をするよりも先に陽葵が二人分の火をつけた。



「…海斗くんは、私といて楽しい?」


「え?」


「嘘はダメだよ、火がついてる間は。ほら、早く答えて。落ちちゃうでしょ」