陽葵と海岸の方に移動をして誰もいない海を眺めながら花火に火をつける。



「きゃー!あはは!これすごい!」



シューと音を立てて激しく燃えている花火を陽葵が危なっかしく振り回している。



「陽葵、危ないよ」


「はーい。でも、どうして急に花火なんて持ってきてくれたの?昨日言ってた?」


「ううん。陽葵が…喜ぶかなって思って」



昨日帰ってから僕が陽葵のためにできることはなんだろうとたくさん考えて、思いついたんだ。


僕は陽葵が生きているこの瞬間を少しでも楽しく思い出に残るような時間にしてあげたい。



「陽葵に記憶に刻みつけられる瞬間をたくさんあげたいんだ。陽葵が笑顔になれるためなら僕はなんでもする」



それが唯一僕にできることだから。


陽葵は記憶を覚えていられないからこそ、日記をつけて残している。