立ち上がって陽葵のお母さんに向かって深く頭を下げる。



「いいのよ、謝らないで。今お医者さんに話聞いてきてね、とりあえず今はもう落ち着いて寝ているみたいよ。きっと今日の暑さで体調が悪くなったんだろうって。だから、海斗くんのせいなんかじゃないからあまり自分を責めないで」


「…はい」



ふと忘れてしまいそうになるけど、陽葵は重い病気を抱えている女の子なんだ。


そんな陽葵のそばにいることを許してもらって、託してもらっているというのに僕は一体何ができているんだろう。


僕が陽葵のためにしてあげられることって、なんだろう…。





「ねえ、そこのキミ。なに読んでるの?」


「…陽葵?体調はもう大丈夫なの?」



僕の隣に腰掛けた陽葵がにっといつもの眩しい笑顔を見せた。