「はあ…よかった。ごめん、陽葵。一人にして、怖い思いまでさせて」


「ううん。海斗くんの方が震えてるじゃん。ありがとね、助けてくれて」



陽葵がにこっと優しく笑った。


その笑顔に少しだけ違和感を感じる。



「それに、大切な人って言ってくれて嬉しかった。ヒーローみたいだったよ」


「いや、別に…」



なんだか気恥ずかしくなり、放り投げてきたバケツを取りに行くフリして赤い顔を陽葵から隠す。



「そういうところが…」


「…え?何か言っ…」



ふと、陽葵が何かを言いかけたのが気になり振り向くと、そこには陽葵が倒れていた。