「いいじゃん、こんなとこに一人でいたってつまんないでしょ?」


「俺たち観光でここに来ててさー、なんかオススメの場所とかお姉さんが教えてよ」


「だから、嫌だって言って…」


「あの、何か用ですか?」



せっかく汲んできたバケツをその場に放り投げ、気づいた時には陽葵を庇うようにして立っていた。



「あ?なに、お兄さん?」


「もしかして、この子の彼氏?」



どうしよう、咄嗟に来てしまったけど僕より明らかにガタイのいい男二人組に、情けないがびびってしまう。



「…僕の大切な人、なので。観光地を探してるなら僕が案内しますよ」


「…あーもういいよ。行こうぜ」



めんどくさくなったのか、男二人組はあっさりと引いていった。