「じゃあ海でも行く?足だけでも入れば、少しは涼しいんじゃない?」


「ええ、めんどくさいって。…そんなに言うなら、海斗くんが汲んできてよ」



陽葵が誰かが忘れたのか落ちているバケツを指差してそう言った。



「…わかったよ。待ってて」



陽葵の意思は変わらなさそうで、仕方なく僕が折れて落ちていたバケツを拾って海に向かう。



「…つめた」



海は今日も透き通っていてひんやりと冷たい水が熱った体に染みて気持ちよかった。


これで少しは陽葵も涼しくなるといいけど。



バケツいっぱいに冷たい海水を汲んで陽葵の待つ場所へ戻ると、陽葵は知らない男二人組に囲まれていた。



「…やめて、離して…っ」