毎日昨日の記憶をなくしてそれでも笑って生きている陽葵と、これからも一緒にいることは辛くないのかと心配してくれているのだ。



「…僕は、全部わかってる上で陽葵とこの夏を過ごしたいと思っています。できれば、この夏だけじゃなくてその先もずっと。陽葵は、なんにも取り柄のない僕を太陽みたいに照らしてくれるから、そんな陽葵と一緒にいるのは楽しいです」



…って、こんなの、告白を超えてまるでプロポーズみたいじゃないか。


それに、陽葵と一緒にいたいと僕はこんなにもはっきりと思っていたことに自分でも驚いた。



「そっか…。これからも、陽葵をよろしくね」



陽葵のお母さんは泣きそうなのを必死に堪えながら、ふっと優しく笑った。


その笑顔が少しだけ陽葵に似ているなと、そう思った。





「ねえ、そこのキミ。なに読んでるの?」


「やっと来た。本はいいから、早く行こう」


「え?」