奥からやってきた優しそうな女の人が、僕に視線を移すときょとんと首を傾げていた。



「海斗くん！友達なんだ。一緒に濡れちゃったから、連れてきたの」


「何してたのよ、もう…。早くお風呂入っちゃいなさい。海斗くん、は次でいいかしら？」


「あ、いや、僕は本当大丈夫です。あの、タオルだけ貸していただければ…」


「わかったわ、奥のリビングで待ってて。陽葵は早くお風呂入ってきて」



陽葵のお母さんがパタパタと行ってしまい、お言葉に甘えて上がらせてもらおうと靴を脱いでいると、じっと陽葵が待っていることに気づく。



「…何してるの？早くお風呂行ってきなよ」


「一緒に入る？」


「な…っ、入るわけないだろ！」



陽葵はあははと笑うと、僕をからかうだけからかってお風呂に駆けていった。