「…え?」


「海斗くんもこのままじゃ風邪引いちゃうでしょ?」


「いや、僕は…」


「よし、決まり!行こ」



陽葵が僕の手を握ると、有無を言わさずに海から五分ほどの家の前まで連れて行かれた。



「ちょっと、急にまずいんじゃない?」


「何が?大丈夫だよ、お母さんいるし」


「いや、だから、急に知らない男が家に来るっていうのがまず…」



い、と言い切る前に、陽葵が元気よく「ただいまー!」と家の中に入っていった。



「まあ、陽葵、なんでそんなに濡れてるの!…あら?そちらは…」