「ねえ、そこのキミ。なに読んでるの?」



いつも通り陽葵が明るく笑って僕の隣に腰掛けてきた。



陽葵と毎日ここで会うようになってから一週間が経った。


たまに来ない日もあるけど、そういう時は体調があまりすぐれなくて安静にしているのだと次の日の陽葵が教えてくれた。



「昨日の続きだよ」


「昨日…。あ、わかった。推理小説だっけ?」


「そう。今すごくいいところなんだよね、犯人がもうすぐわかりそう」


「ねえ、今日は海の方行こうよ!」



陽葵は全く人の話なんて聞いていない様子で、犯人がわかりそうだという一番いいところなのに気にせず僕の腕を引っ張ってくる。


そして僕もそんな陽葵にノーとは言えないんだ。