「お～ほっほっほっほっ！ ようやくここまでたどり着いたのね！ 剣聖よ、かかってらっしゃいな！」
私は得意気に大悪女を演じる。
この日の為に何年も練習した高笑いも、ばっちり決まったわ。巷で流行りの悪役令嬢や悪女が登場する本や舞台を参考にしたの。
「いや、何でお前がいる……」
対して私のダーリン(仮)は私をジトリと見る。
呆れたような、胡散臭そうな目をしたダーリン(仮)も素敵。
そうそう、何故ダーリン(仮)なのかというと、私の心の中だけのマイ・スウィート・ダーリンだからなの。今までに何回も告白して、その度に撃沈したんだもの。
自分で言ってて……やだ、ヘコんじゃう。
なんて寂しい胸の内に浸っていれば、何て事?! 岩の上にいる私をダーリン(仮)が岩下から見上げたですって?!
「それで？ 五、六年前に突然失踪した伯爵令嬢が、何でそんなとこで似合わない高笑い……」
「あ、ごめんなさい？ ちょっとタイム」
「……はぁ」
やっば！ 鼻血吹いちゃう！ このアングル、最高か！ 剣を構えつつ、ちょっぴりため息を吐くダーリン（仮）……素敵が暴徒化してイイ！ 敵対する私のタイムを律儀に聞いてくれるところなんて、ジェントルが過ぎるわ！ 彼のさらさらストレートな青銀髪も！ 深い青色の切れ長の瞳も！ 旅が始まって頻繁には切れなかっただろう髪を無造作に後ろで結んで、それがまた色っぽ似合ってるのも！ 正にクールビューティー！ 氷の剣聖なんて呼ばれているのも納得ね！
それに鍛えた筋肉も、私が知る頃よりずっと分厚くなっている。精悍さも増して……いけない妄想で滾っちゃう！
そんなダーリン(仮)が私を見上げるこのアングル！ むしろキュート！ 世に言うギャップ萌えにキュン死寸前！ 鼻血も出血大っサービスで失血死しそう！ もちろん魔法で鼻の穴から流血する前に拭っているけれ……。
「ちょっとあんた、やる気あるわけ?! さっさと私達に倒されにかかってきな……」
まあ、小生意気ね。見た感じ、役割は盗賊かしら。赤茶髪セミロングの女の子。華奢なのに、美乳じゃない。
「どこ見て闘志燃やしてるのよ?!」
私、もっと美乳エクササイズ頑張る！
「そうですわ。こんな所で貴女にかまけている暇なんてありません……」
こっちのお嬢さん然とした子は、黒髪長髪の聖職者かしら？ 後衛職だからか距離が少しあるわ。 遠くの神官服の膨らみをギン、と鋭い眼差しで確認。そして自分の胸を見る。
「……って、どこを見てあなたのナニと比べて勝ち誇ってらっしゃいますの?!」
ふふふ、勝ったわ。
「私達は魔竜を倒す使命があるのですよ、お嬢さん。魔竜の手下のようですし、討伐……」
あー、はいはい、金髪君は魔術師ね。まあ普通に貴族の坊っちゃん然としていて整った顔立ちよ。私の食指は全く動かないけれど、もてるタイプじゃないかしら？
「何故どうでも良さそうな顔を?!」
うんうん。快活可愛い、清楚美人、ありふれた美青年のパーティーね。
はあん！ やっぱり私のダーリン(仮)が断トツ１番のオンリーワン！ うちの子かっけぇ！
それはそうと……ざっと一瞥して個々を鑑定して確認してみる。
うーん、やっぱりねえ。
「貴方達、弱すぎて相手にならないわ。クロちゃ、んん！ 魔竜様の足下にも及ばないわ。出直してらっしゃいな！ あぁーっはっはっはっ！」
敵役、いえ、世紀の大悪女らしく馬鹿にして、高笑いもここぞとばかりにお見舞いしてやる。
彼らはＡランクパーティーだったはず。けれど実のところダーリン(仮)の牽引がなければ、ここに来るのもおこがましいレベル。愕然としちゃうわ。
この人達、どうしてこんなに弱いの？ 予想外のハプニングにびっくり。
なんてこっそり嘆息していれば、もう何度目になるかわからない約七年前の出来事が頭を過ぎった。
私は得意気に大悪女を演じる。
この日の為に何年も練習した高笑いも、ばっちり決まったわ。巷で流行りの悪役令嬢や悪女が登場する本や舞台を参考にしたの。
「いや、何でお前がいる……」
対して私のダーリン(仮)は私をジトリと見る。
呆れたような、胡散臭そうな目をしたダーリン(仮)も素敵。
そうそう、何故ダーリン(仮)なのかというと、私の心の中だけのマイ・スウィート・ダーリンだからなの。今までに何回も告白して、その度に撃沈したんだもの。
自分で言ってて……やだ、ヘコんじゃう。
なんて寂しい胸の内に浸っていれば、何て事?! 岩の上にいる私をダーリン(仮)が岩下から見上げたですって?!
「それで？ 五、六年前に突然失踪した伯爵令嬢が、何でそんなとこで似合わない高笑い……」
「あ、ごめんなさい？ ちょっとタイム」
「……はぁ」
やっば！ 鼻血吹いちゃう！ このアングル、最高か！ 剣を構えつつ、ちょっぴりため息を吐くダーリン（仮）……素敵が暴徒化してイイ！ 敵対する私のタイムを律儀に聞いてくれるところなんて、ジェントルが過ぎるわ！ 彼のさらさらストレートな青銀髪も！ 深い青色の切れ長の瞳も！ 旅が始まって頻繁には切れなかっただろう髪を無造作に後ろで結んで、それがまた色っぽ似合ってるのも！ 正にクールビューティー！ 氷の剣聖なんて呼ばれているのも納得ね！
それに鍛えた筋肉も、私が知る頃よりずっと分厚くなっている。精悍さも増して……いけない妄想で滾っちゃう！
そんなダーリン(仮)が私を見上げるこのアングル！ むしろキュート！ 世に言うギャップ萌えにキュン死寸前！ 鼻血も出血大っサービスで失血死しそう！ もちろん魔法で鼻の穴から流血する前に拭っているけれ……。
「ちょっとあんた、やる気あるわけ?! さっさと私達に倒されにかかってきな……」
まあ、小生意気ね。見た感じ、役割は盗賊かしら。赤茶髪セミロングの女の子。華奢なのに、美乳じゃない。
「どこ見て闘志燃やしてるのよ?!」
私、もっと美乳エクササイズ頑張る！
「そうですわ。こんな所で貴女にかまけている暇なんてありません……」
こっちのお嬢さん然とした子は、黒髪長髪の聖職者かしら？ 後衛職だからか距離が少しあるわ。 遠くの神官服の膨らみをギン、と鋭い眼差しで確認。そして自分の胸を見る。
「……って、どこを見てあなたのナニと比べて勝ち誇ってらっしゃいますの?!」
ふふふ、勝ったわ。
「私達は魔竜を倒す使命があるのですよ、お嬢さん。魔竜の手下のようですし、討伐……」
あー、はいはい、金髪君は魔術師ね。まあ普通に貴族の坊っちゃん然としていて整った顔立ちよ。私の食指は全く動かないけれど、もてるタイプじゃないかしら？
「何故どうでも良さそうな顔を?!」
うんうん。快活可愛い、清楚美人、ありふれた美青年のパーティーね。
はあん！ やっぱり私のダーリン(仮)が断トツ１番のオンリーワン！ うちの子かっけぇ！
それはそうと……ざっと一瞥して個々を鑑定して確認してみる。
うーん、やっぱりねえ。
「貴方達、弱すぎて相手にならないわ。クロちゃ、んん！ 魔竜様の足下にも及ばないわ。出直してらっしゃいな！ あぁーっはっはっはっ！」
敵役、いえ、世紀の大悪女らしく馬鹿にして、高笑いもここぞとばかりにお見舞いしてやる。
彼らはＡランクパーティーだったはず。けれど実のところダーリン(仮)の牽引がなければ、ここに来るのもおこがましいレベル。愕然としちゃうわ。
この人達、どうしてこんなに弱いの？ 予想外のハプニングにびっくり。
なんてこっそり嘆息していれば、もう何度目になるかわからない約七年前の出来事が頭を過ぎった。
