大空が目を見開く。

「俺に触れられるのは大空だけだよ」
「そんな……」
「信じられない?」

こくんと頷く。

「じゃあ、清夏が好きな子と一緒にいれるようにっていうのは……」
「大空だよ」
「清夏が留学を迷ってたのは……」
「大空ともっと一緒にいたかったから」

帰国して今まで俺たちを繋いでいたような、幼馴染という関係も無意味なものになるのが怖かった。

隠していたことを全て打ち明ける。

すると、大空は突然泣き出した。

俺は慌てて涙を拭う。

「それ、全部本当?」
「本当だよ。ずっと大空が好きだ」

正直になればなるほど、心からの言葉が溢れてくる。

「なら、もう清夏が悩むことはなくなるね」

その言葉に反応する前に、大空は俺を抱きしめた。

「そ、大空……!」
「清夏」

動揺する俺の胸にうずくめていた顔を上げる。

「私も、清夏が好き」

夢かと錯覚した。
でも、大空の温かさは確かに感じて、現実だと理解する。

「本当に?」
「本当。小さい時からずっと、好き」

俺は思わず大空を抱きしめた。
大空も俺に手を回す。

叶わないと思うようなことでも、何が起こるかわからない世界。

どんなに小さな夢であっても、持った瞬間に、夢が放つ光が誰かを導く。

俺の大きな月の光はまだ遠いけれど、月光が道を照らす限り俺は進むことをやめない。

「帰ろうか」
「うん」

ぎこちなくも、しっかりと繋いだ手。

ぎゅっと大空の手を握ると、それに応えるように大空も俺の手を握り返した。

きっと俺がこの手を離すことはない。



Two Moonlights





【END】