「俺、大空に会ってくる」
「……いってらっしゃい。くれぐれも怒らせないようにね」
「うん。ありがとう」

俺は電話を切ってスマホだけを持って大空の家へ走った。

大空の応援と朔凪のアドバイスがあって、ようやく決められた結果。

この結果を一番に伝えるべき相手は、大空だ。

走りながら大空に電話をかける。

プツっと音がして聞きなれた声が小さな機械から聞こえてきた。

「もしもし、清夏?」
「大空、今から家に行くっていうか今向かってる」
「何。なんかあったの?」
「さっき話してた二択の話、決めた」

それだけで通じたようだった。

大空はすぐに「わかった」と答えて電話を切る。

大空が俺を待ってくれる。

それだけで足が軽くなる。

いつもなら走って十分ほどの大空の家に今日は五分で着くほど俺は嬉しかった。

息を正しながらインターホンを押すと、すぐに応答と大空が出てくる。

「めっちゃ息切れてるじゃん。走ってきたの?」
「ああ。大空に早く伝えたくて」
「え?」

今までなら少し恥ずかしくてこんなこと言わない。

でも、これからは恥ずかしくても、大空が好きだという俺に真っすぐ向き合う。
そう決めた。

戸惑っている大空の様子を見ているのも面白かったが、ひとまず落ち着いて話せそうな場所に移動したい。