「今日見てて思ったけど、まだくっついてないんだね」
「まだって……」
「ん?だって、清夏はずっと好きじゃん、大空のこと」

朔凪は俺らの近くにいすぎて多少の変化も見逃さない。
大空を好きになったのが最近の話ではないこともお見通し、と。

「いつ気づいたんだ」
「いつだったっけ……清夏が小学生ぐらいの時かな」
「は?」
「私が大学二年生だったと思うから清夏は……小学五年生だ」

小学五年生はどうだっていい。
問題なのは小学生というところ。

だって、そんなわけないんだ。
俺自身が大空を好きだと気がついたのは中学一年生で、小学生なんてまだ恋愛だとか考えてもいなかったと思う。

そう言っても朔凪は「いやいや。明らかに大空のこと好きだって目してた」と否定する。

「ない。絶対にない」
「あるんだって」
「ないって」
「あのね、誰が好きな子といる前で自分の顔見て"ああ、俺アイツのこと好きなんだ"ってなんのよ。そういうのは自分じゃわからないの!」

そう言われては俺がいくら言っても自分からではわからないと返されて終わりだ。

大空といい、朔凪といい、この姉妹は絶対にそうだと思ったものを押し通そうとする力が強い。
そして、俺はそれに弱いのかもしれない。