大空は開いた口が塞がらないようで少しの間、固まった。

言っておくが、もっと高いと平気で六万を超すものもあるんだからな。
俺の持つ冊数を考慮して三万で納められたのならいい方だと思う。
あと、お金は俺と親で半々だ。
一方的に払ってもらっているわけではない。

「まぁそれなら……いい、のかな」

どうも納得できないらしく「お金は大事にね」と注意された。

言われずとも、大事に貯金してますよ。

「そんな大きい本棚に何の本が入ってるの?」
「こういう世界史の本とか、有名な物語の英語版と日本語版を一冊ずつとか」

持っている本を指さして言う。

馬鹿みたいにヨーロッパが好きだと連呼している俺でも、それしか眼中にないのではなく、アジアの歴史も知識として得ようとはしている。

それと、世界的に有名な小説だと色々な言語で刷ってあるものが多く、勉強にちょうどいい。

「なら、私の知ってる本ある?」
「ほとんどないに等しい」
「そんな即答するほど私の勧めた本持っていないの……?」

大空もそれなりの読書家で幼い頃は大空からえげつない量の本を渡され、読まされた。
その中でもムーミンシリーズ全巻を渡されたときは流石に無理だと押し返したな。