「……ああ、そうだな」

来年はまだ日本にいるが、留学に行けば再来年は一時帰国しない限り直接もらうことはできなくなる。

一時帰国はするだろうけれど、何があるかは分からない。
ホームステイ先で何か催しがあるかもしれない。
一番の懸念事項は勉強についていけないこと。
夏休みを使って只管(ひたすら)、勉強しなければいけない可能性もある。

それと、俺の留学での目的は異文化交流だ。
話して、現地で見て学ぶ。
もしも、向こうで友達ができたらそっちを優先する決断をするかもしれない。

「そっかぁ」
「帰ってこれるようなら、ちゃんと帰ってくる」
「うん。その時はケーキでも作れるように頑張ろっかな」
「オーブンでも爆発させる気か?」
「朔凪に教わるから平気だし!」

強烈なデコピンに額がヒリヒリする。

でも、俺のために何かを頑張ろうとしてくれるのは純粋に嬉しい。
きっと、それだけで一時帰国するかを決断する時に揺らいで頭を抱える。

俺は照れ隠しと悩ましい留学の話に居た堪れなくなり、話題を逸らす。