「二人とも若者って顔してるねぇ」
「若者って、朔凪の世代とそんな変わらないだろ」
「まだ二十六でしょ」
「二十六なんてあんた達に比べたらおばさんよ」

歳を取ると自分の年齢を受け入れにくい人もいるのに、朔凪はまるで他人事のようだった。

会わないうちに更に男っぽくなった……というより、これはおばさんくさくなった……。

「清夏、今失礼なこと考えたね」
「え、い、いやそんなことないし……」
「ほう。嘘を吐くのか。ならば、悪い奴には仕置きをせねばな」

そう言って俺の頬を抓り、引っ張る。

痛い!
爪が刺さってる!

掴む力が強すぎて逃げれない上に、もがくと爪が食い込んでくる。
即ち、無駄な抵抗はせずにやられておけということ。

「ひゃの、すいあえんでした」
「口だけの謝罪は聞かないよ」

喋りやすいように頬を抓る力が少し緩まった。
おかげでまともに話せるようになり、スラスラと謝罪の言葉を述べる。

「誠実な謝罪でございます。申し訳ありませんでした。どうぞ寛大なお心でお許しくださいませ」
「よろしい」

ようやく離してもらえた頬は赤く、食い込んだ爪痕が残った。

一部始終を目の前で傍観していた大空は大笑いだ。

「清夏。これに懲りたら女性に失礼なことを考えているって悟られないようしないとね。勿論、考えないのが一番だけど」
「はい……肝に銘じます」