こんなやり取りも日常茶飯事で近所では「変わらず仲良いのね」とか、学校では「付き合ってんの?」とか周りは好き放題言う。
その度に「大空は家族みたいなもんだから」と言って誤魔化す。

学校はもう、すぐそこで時間にも余裕があるので自転車を押して向かう。

「そういえば、国際科って秋頃に留学あるでしょ?どうするの?」

大空が前を歩きながら聞く。

俺は国際科、大空は普通科。
他にも社会福祉科、スポーツ科、商業科があり、ここら一帯では一番規模の大きい学校だ。

俺が国際科に入ったのは海外、特にヨーロッパで暮らしたいと思っているから。
昔からヨーロッパの華やかな雰囲気や壮大な自然が好きで一生に一度は行くと決めていた。

けれど、今はグローバルな社会で人も物も世界規模で盛んに移動する時代。
一生に一度なんて夢が小さいと思った。
いっそのこと向こうで住んだり、働いたり。
人生を通して世界を見たい。

――それが夢であり、俺の思う自由。

「俺はまだ」
「いつかは行くの?」
「二年になったらしよっかなって。一年以上は余裕持って決めたほうがいいって言われたからそろそろ考えまとめなきゃだな」

留学は色々な手続きがあるから、出発する一・二年前には決めた方がいい。
余裕を持っていた方が留学先の国についても予め調べておけるし、時間があって損することはないと思う。

「留学かぁ。うちの学校、長期留学は十ヶ月だっけ?短期は……」
「二ヶ月」

短期留学は約三ヶ月、長期留学は約十ヶ月と言われている。
学校によっては一週間からも可能だったりもするが、俺たちの学校は短期留学が二約ヶ月、長期留学が約十ヶ月。

主に長期留学をする人が多く、ホームステイをしながら約十ヶ月間、向こうの高校に通う。