アイスを食べきってごみを捨てる。

大空はまだ涼みたいからといって帰らなかった。

「家すぐそこじゃん」
「外何度だと思ってんのよ。三十八度!今まで必死に自転車こいでアイスも買ってきてあげたんだからいいでしょ」
「家で涼んだ方が落ち着くだろ」

言いつつも目の前で転がる大空。
俺は何を見てものを言っているんだか。

「ここは第二の家みたいなもん」
「俺の部屋には入るなよ」

好きな人が部屋に入ったと思うと落ち着けない。
大空とは違って、ここは俺の実家だ。
落ち着けないなんて困る。

何より参考書やら語学の本が本棚に入りきらずに箱に入れて床に置いているから最低限の足場しかない。
それを好きな人に見られたいと思うか、普通。
否、絶対に見せない。

「なになにー?やましいものでもあるのかなぁ?」

ちゃんとした理由があるというのに何をニヤニヤしているんだ、こいつは。

「単純に汚いんだよ。本が多すぎて本棚に入らないから床に置いてある」
「……なんか、勉強が恋人みたいだね」

誰がガリ勉だ!

「違うし!俺はまじで数学が嫌いだって知ってるだろ。お前に見つかった数学のテスト何点だったよ!?」
「二十三点」
「なんで覚えてんだよ!」