「何度?」
「三十八度五分」

自分で読み上げて驚愕した。

自慢でもないし、俺は馬鹿でもないはずだが、今までの人生で熱なんて記憶のない頃を除いて数えられるほどしか出したことがない。
しかも、どれも高くてギリギリ三十八度。
その俺が三十八度五分だなんて母親も愕然としている。

「……もう一回測る」

何かの間違いだろうと思い、測りなおした二回目、三十八度五分。
もしかしたら壊れているのかもしれないと違う体温計で測るが、三十八度六分。

何故か徐々に上がっている表示と体の異常さから本当に熱が出ていることが事実なのだと認識した。

母親に今日は学校を休めとベッドに戻される。

「急いでおかゆ作っておくからお昼に温めて食べなさい。飲み物は置いておくわよ。動けないくらい辛かったら電話して」

母親は「今日は人が少なくて急に仕事を休めないから」と言って慌ただしく出ていった。

家の中は静かで少し心細くなるほどだった。

「あー……だるい……」

熱が上がっているのだろう。
段々寒気がして夏なのに布団を首から足までしっかり被る。

何が原因かわからないのが俺を不安にさせた。