結局、再び眠りにつき、次に起きた時には母親の怒声が部屋に響いていた。

「清夏、もう七時だよ。さっさと起きてご飯食べちゃって!」

俺がうるさくしたら近所迷惑だとか言って怒るくせに、こういう時だけ自分は棚に上げるんだから反抗したくもなる。

溜息を吐いて起き上がろうとする。

「あれ……?」

が、どうも起き上がれない。
体に力は入るし、普通に手も動かせる。
それなのに思考とは裏腹に、起き上がることを体が拒否をしている。
ここから動こうしてくれない。

「母さん、ちょっと手かしてくんない?」
「何おじいちゃんみたいなこと言ってるのよ。まったく……」

ブツブツ言う母親の手をかりてどうにか上半身を起こす。
すると、どっと鎧でも着たような重みを感じた。

「体痛いの?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだけど。なんか、凄い体が重い」
「重い?」
「動きたくないなって感じ……うーん……だるい?」

自分の体なのによくわからない感覚に戸惑う。

「聞かれてもわからないわよ。一応体温測りなさい」

母親が一階から持ってきてくれた体温計を脇に挟む。
一分も経たないで体温が表示された。