「私、若葉くんのこと、男の人としてしか見てないよ。私のこと意識して欲しい」

パチンッ

「えっ……」

そんな音と共に、倉庫の電気がついた。

瑞季さんの顔が、史上最高に近い。

お互いの吐息がかかる距離。

俺の背後にある電気を瑞季さんがピンポイントに押したらしい。

「フッ、若葉くん、耳真っ赤」

「ちょっ、マジで、ほんとやめてください」

「やめないよ。好きって言ってくれるまで」

形勢逆転。

いや、初めっから瑞季さんが何枚も上手だったんだろうけれど。

それでも、手を掴まえたのは俺からなのに。

こんなのって……。

「ねぇ、若葉くん?なんで珠貴くんにヤキモチ妬いたの?」

俺の首に手を回したまま、そう問いかけてくる瑞季さんは、

圧倒的に大人の女で。

悔しいけど……。
俺の負け。

「っと……」

「ん?」

「……瑞季さんのこと、……好きだから」

おかしくなりそうなぐらいドキドキしながら声を絞り出してそういえば、

「……っ、ほんと?」

瑞季さんは、俺を映す目をうるっとさせながら聞き返してきた。

ズルすぎる、そんなキラキラした顔。
あからさまに、嬉しそうな顔。

絶対、俺以外に見せないで。
いや絶対見せないから。