「えっ……」

「ほんっと肝心なことは言ってくれないんだね。ずるいな〜」

「……っ、瑞季さん?」

フワッと空気が動いた。

彼女の仕事着の制服から香る柔軟剤の香りが鼻腔をくすぐって。

ドクンと心臓が鳴る。

「でも、私も試したからおあいこだ」

「……えっ、試した?」

「私が高校生は恋愛対象じゃないって言ったら、若葉くんはどんな反応するんだろって思ったの。けど相変わらずクールだから、あーあ、そっかーって」

「っ、えっ」

さらに、彼女の香りがグッと近づいたと思えば、肩に手が回されて。

……なに、これ。

暗闇で視界では何も確かめようがないけれど。

彼女の顔がものすごく近くにあることがわかる。

熱い……心臓がうるさい。


こんなの、知らない。