「……でも、瑞季さんは未成年は恋愛対象にならないんですよね」

「……えっと、」

困らせたかもしれない。
もっと嫌われたかもしれない。

こんなことをする柄じゃ絶対ないのに。

外の蒸し暑さのせいで、頭が、身体が火照っている。

馬鹿げている。こんなこと。

好きな人を、困らせたいわけじゃないのに。
ただ、あの笑顔を見たいだけなのに。

「……いや、その、ごめんなさい、ふざけすぎました……」

返事を聞くのが怖くて。

今までみたいに話せなくなってしまったら?

突然襲ってきたそんな不安で、慌てて電気のスイッチに手をかけて、彼女の手を掴んでいた左手を離そうとした瞬間、

今度は彼女の両手が、俺の左手をギュッと握った。