「えっ、ちょ、何!え、若葉くん、今、電気消したの?は?!」

パニックを起こす瑞季さんを他所に、俺はギリギリまで見えていた記憶を頼りに手を伸ばした。

「わっ!!」

ビクッと引っ込めそうになった彼女の手首をしっかり掴んで。

怖い思いをさせているかもしれない。
よくわかっている。

けど、こんなやり方でしか伝えられない。

世界一ダサい。

許してほしい。

「若葉、くん……」

「嘘つきました」

「えっ?」

暗闇のせいで、聴覚がいつもよりも敏感になっていつも通りなはずの彼女の声が、余計に耳に伝わる。

「……妬いてます、すっごく」

「……っ、」

「瑞季さんが珠貴と仲良くしてるの、すげーやだなって」

彼女の手を掴む自分の手が、震えている気がした。